※デジパック

イギリスのバーミンガムのポップパンクバンドのニューアルバムが10年ぶりにリリースされたんだけど、これはこれまで以上にイギリス色が濃くてこれまでこのバンドを聴いていなかったUKポップパンクファンにも届くと思います！だってCLASH感じるってことはTONEにも通じるメロディーだし（SKAな曲もあるしね）、70'sパンクロックもOiパンクっぽさもあるし、もちろんドイツのLOST LYRICSとか好きなユーロポップパンクファンも大好きだと思うよ！Lookout! Recordsの創始者の一人であるLarry Livermoreもこのバンド大好きなんですよ。で、彼は好きすぎてこんな長文のライナーを書いてくれたそうです。俺のコメントよりもLarryの文章のほうが遥かにZATOPEKSに対して熱量が半端ないので訳してみました。

「新しいミレニアムが幕を開ける少し前のある夜、俺はウェスト・ロンドンのパブで、サウス・イーリング出身の元気な18歳の若者と向かい合い座っていた。彼は、Lookout! Recordsスタイルのポップ・パンク・バンドのオープニングアクトを務める計画を息も絶え絶えに語る合間に、次々とジョッキを空にしていた。以前にも聞いたことがあるような話だったが、これほど熱心に話すやつはいなかった。その前年にLookout! Recordsを辞めた俺は、もうこの若者の夢の実現を手助けする立場にはないことを申し訳なく思いそうになった。その一方、俺は歳を重ね皮肉屋っぽくなっていたので、同じような考えを持って近づいてきた他の多くのミュージシャンに話したことを彼に伝えた。『君の夢はすごいと思うよ。でも、君が言っているような音楽は数年前にとっくにピークを迎えちゃっている。君はそこに新たなものを生み出せるのかな？』彼は音楽だけでなく、他の多くのことについても俺と議論した。彼はまだ大学にも入っていなかったが、知識が非常に豊富で、何か勘違いしていることでもはっきりと言うことができた（これらの議論中の疑問のいくつかは今でも継続中で、結論が出たらお知らせするつもりだ）。

けれども、肝心な部分は俺が間違っていた。本当に酷い間違いだった。俺が関わってきた音楽のジャンルにこれ以上新たなものは付け加えられるものはないと思っていたら、後にウィル・デニーロとして知られるようになるあの若者（現在はウィル・デニーロ教授なんだよ。そう、彼はさまざまなことで私を打ち負かし、議論する正式な権限を獲得している）が、同じような趣向を持つ音楽の天才たちを仲間に見つけ、一緒にこのZATOPEKSを結成した。今ではZATOPEKSは、今世紀イギリスが生んだ最高のバンドの一つだと思っている。このバンドにはたくさんの魅力がある。彼らのウィットと知性だけでも、ありふれたパンクロックバンドとは一線を画しているのだが、特に気に入っているのは、彼らが50年代のロックンロールとドゥーワップをたっぷりとミックスしていることと、過去と現在も重要な政治問題を避けず、それでいて自分の意見をリスナーに押し付けないようにしている点だ。

彼らはイギリスで活動を開始したが、数年前にブレグジット（EUからの離脱）を経験し、現在5人のメンバーのうち2人はドイツに住んでいる。しかし、彼らのサウンドは特定の時代や場所に固定されるものではない。イギリスやヨーロッパ大陸の影響だけでなく、アメリカからの影響もふんだんに取り入れている。年を重ねるごとに良くなり続ける稀有なバンドの1つで、彼らの音楽は何度聴いても新たな発見を与えてくれている。1998年当時、パブにいたあの若者は、彼のクレイジーなパンクロックの夢を現実のものとすることで、最後に私を笑わせてくれたかもしれない。俺は普段、自分の間違いを証明されることを好まないが、これは間違っていることがこれほど正しいと感じたことがない例の1つなんだ。」

音楽だけに耳を傾けてもこれまでの音源よりも遥かにイギリスらしい曇り空の哀愁サウンドだし、新たなファンを獲得するアルバムになるだろう。しかし、Larry Livermoreにここまで書かせるバンドってめちゃくちゃうらやましい！(O)